葬祭コラム
献体と臓器提供とは?違い・意思表示・亡くなった後の流れを解説
自分が亡くなった後、「医療や医学教育のために役立ててほしい」と考え、献体や臓器提供について検討する方もいます。
献体と臓器提供は、どちらも亡くなった後に自分の身体を役立てるものですが、目的や手続き、その後の流れは異なります。
また、本人が希望していても、亡くなったときの状況や登録先の受入条件などによって実施できない場合があります。
ここでは、献体と臓器提供の違い、生前にしておきたい準備、亡くなった後の一般的な流れ、葬儀との関係について分かりやすく解説します。

献体と臓器提供の違い
献体と臓器提供では、身体を提供する目的が異なります。
| 項目 | 献体 | 臓器提供 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 医学・歯学の教育、研究、研修など | 移植を必要とする方への臓器移植 |
| 生前の準備 | 大学や献体団体への登録が基本 | 意思表示をしておくことができる |
| 亡くなった後 | 登録先の大学・団体へ連絡し、受入可否を確認 | 医療機関で条件を確認し、家族への説明・承諾などを経て進む |
| ご遺骨 | 解剖学実習等の終了後に火葬され、返還される場合がある | 臓器提供後、お身体がご家族へ戻され、葬儀を行うことができる |
具体的な手続きや条件は、献体登録先や医療機関によって異なります。
献体とは

献体とは、医学・歯学の教育や研究などに役立ててもらうため、亡くなった後に自分の身体を大学などへ提供することです。
医学部や歯学部では、人体の構造を学ぶ解剖学実習などに献体されたご遺体が用いられています。
献体は一般的に、本人が生前に大学または献体団体へ登録し、亡くなった後にご家族などが登録先へ連絡することで手続きが進みます。
ただし、登録していれば必ず献体できるとは限りません。亡くなったときの状況や登録先の受入条件によって、献体できない場合があります。
献体を希望する場合は生前の登録を確認する
献体を希望する場合は、献体を受け入れている大学や献体団体へ生前に申し込みます。
登録できる地域、年齢、必要な同意などの条件は、受入先によって異なります。
また、実際に献体を行う際にはご家族などによる手続きが必要になります。
本人の希望だけでなく、家族にも献体を希望していることや登録先を伝えておくことが大切です。
献体をする場合の葬儀はどうなる?
献体を希望していても、葬儀やお別れの時間を持つことができる場合があります。
ただし、いつ大学へお身体を引き渡す必要があるかは、登録先や亡くなった状況によって異なります。
例えば、通夜や告別式を行った後に献体先へ引き渡せる場合もあれば、早い段階での搬送が必要になる場合もあります。
そのため、献体を希望している方が亡くなられた場合は、まず登録先へ連絡し、お身体の引渡し時期を確認することが重要です。
献体を希望していることを葬儀社にも伝える
葬儀社へ連絡する際は、献体登録をしていることを伝えましょう。
大学への搬送時期を確認しながら、お別れの方法や葬儀の日程を調整します。
献体後に火葬を行う時期や、ご遺骨が返還されるまでの期間についても、登録先へ確認してください。
献体後、ご遺骨が戻るまで
献体されたお身体は、大学などで医学教育・研究・研修に用いられます。
その後、大学等の手配で火葬され、ご遺骨がご家族へ返還されるのが一般的です。
ただし、返還までにかかる期間は大学や利用状況によって大きく異なります。
大学によっては、献体からご遺骨の返還まで1〜3年程度かかり、状況によっては3年以上となる場合もあります。
そのため、一周忌などの法要までにご遺骨が戻らないこともあります。
具体的な返還時期や火葬方法については、必ず登録先へ確認してください。
臓器提供とは
臓器提供とは、脳死後または心臓が停止した死後に、移植を必要とする方へ臓器を提供することです。
臓器提供については、「提供したい」という意思だけでなく、「提供したくない」という意思も表示できます。
自分の考えをあらかじめ示しておくことで、万一の際にご家族が本人の意思を確認しやすくなります。
臓器提供の意思を表示する方法

臓器提供についての意思は、さまざまな方法で表示できます。
- マイナンバーカードの意思表示欄
- 運転免許証の意思表示欄
- インターネットによる意思登録
- 臓器提供意思表示カード
資格確認書にも、発行者によって臓器提供意思表示欄が設けられている場合があります。
意思は後から変更することもできます。
臓器を「提供する」「提供しない」のどちらを選ぶ場合でも、自分の考えをご家族へ伝えておくことが大切です。
本人が意思表示をしていない場合はどうなる?
本人が臓器提供について意思表示をしていない場合でも、条件を満たせば、ご家族の承諾によって臓器提供が行われることがあります。
一方、本人が臓器を提供しない意思を示している場合は、その意思が尊重されます。
本人が「提供したい」と意思表示していても、実際の臓器提供には家族の承諾が必要です。
そのため、意思表示をするだけでなく、日頃からご家族と話し合っておくことが重要です。
臓器提供の一般的な流れ
臓器提供が可能となる状況や手続きは、亡くなった状況や医療機関によって異なります。
一般的には、次のような流れで検討されます。
- 医師から病状や救命が困難であることについて説明を受ける
- 本人の意思表示の有無を確認する
- 臓器提供について検討する場合、専門のコーディネーターから説明を受ける
- ご家族が説明を受け、提供について判断する
- 必要な医学的検査や手続きを行う
- 臓器提供が行われる
- 提供後、お身体がご家族へ戻される
臓器提供をするかどうかは、ご本人とご家族の意思に基づいて決められます。
説明を受けたからといって、臓器提供をしなければならないわけではありません。
臓器提供後に葬儀はできる?
臓器提供後は、お身体がご家族へ戻され、その後に通夜や葬儀を行うことができます。
提供後のお身体は、手術を行った部分が適切に処置された状態でご家族へ戻されます。
葬儀社へ連絡する際には、臓器提供を行っていることを伝えると、その後の搬送や葬儀の日程を調整しやすくなります。
献体と臓器提供の両方を希望する場合
「臓器提供をした後に献体もしたい」と考える方もいらっしゃいます。
ただし、献体の受入条件は大学や献体団体によって異なります。
臓器提供や病理解剖、司法解剖などを行った場合には、献体を受け入れていない大学もあります。
両方を希望する場合は、献体登録をする際に、臓器提供を行った場合でも献体できるかを必ず登録先へ確認してください。
ご家族にも、「どちらを優先したいのか」を含めて本人の希望を伝えておくことが大切です。
献体・臓器提供を考えるときに家族と共有しておきたいこと
献体や臓器提供は、本人の意思だけで完結するものではありません。
亡くなった後には、ご家族が医療機関や大学、葬儀社などと連絡を取りながら手続きを進めることになります。
生前に次のような内容を共有しておくと、万一の際に確認しやすくなります。
- 献体を希望しているか
- 献体登録をしている大学・団体
- 登録証などの保管場所
- 臓器提供についての意思
- 意思表示をしている場所
- 希望する葬儀やお別れの方法
- 家族へ特に伝えておきたいこと
エンディングノートなどに記録しておく方法もあります。
献体・臓器提供と葬儀についてよくある質問
本人が希望すれば必ず献体できますか?
必ず献体できるとは限りません。
登録先の条件や、亡くなった原因・場所・身体の状態などによって受け入れられない場合があります。
詳細は登録する大学や献体団体へ確認してください。
献体をしても葬儀はできますか?
葬儀を行える場合があります。
ただし、お身体を大学へ引き渡す期限などは登録先によって異なります。
亡くなられた際は、献体先へ早めに連絡して日程を確認してください。
献体するとすぐに火葬されますか?
通常は、献体後に医学教育や研究などに用いられた後、火葬されます。
そのため、ご遺骨が返還されるまで年単位の期間がかかることがあります。
臓器提供の意思は後から変更できますか?
変更できます。
現在の意思に合わせて意思表示を書き直したり、インターネット上の登録を変更したりできます。
臓器を提供したくない意思も表示できますか?
表示できます。
臓器を「提供する」という意思だけでなく、「提供しない」という意思を示すこともできます。
献体や臓器提供を希望している場合は、葬儀についても家族と話しておきましょう

献体や臓器提供を希望している場合でも、ご家族がお別れする時間や葬儀について考えておくことは大切です。
特に献体では、大学へお身体を引き渡す時期によって、行える葬儀の形や日程が変わる場合があります。
臓器提供の場合も、医療機関での手続きを終えた後に葬儀の日程を調整することになります。
本人の希望と、ご家族がどのようにお別れしたいかを生前から話し合っておくと、いざというときの判断に役立ちます。
株式会社セレモニーでは、献体や臓器提供を予定している場合の葬儀についても、状況を伺いながらご相談を承ります。




