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エンディングノートとは? 使い方と解説
目次
エンディングノートって何?
エンディングノートは、ご自身の老後・終末期・お葬式について記録をするものです。 病気や怪我で自己の意思を伝えられなくなったり、亡くなった後のことを考え、葬儀やお墓、医療や保険、大切な連絡先などを記録し伝えることが目的です。 書く内容に決まりはないため、あなたが必要だと思った情報を自由に書き残せるのも特徴です。エンディングノートは、人生の最後に向けた大切な文書であり記録になり、遺族や家族にとって大切な贈り物となります。- 自分自身の情報として、覚えておきたいこと
- 自分しか知らないけれど、家族にも関係すること
- 万が一の時にしてもらいたいこと
- 今までの人生で楽しかったこと、嬉しかったこと
- 大切な家族や友人に遺しておきたいメッセージなど
- 万が一の時の連絡先や情報
- お葬式やお墓のこと
自分らしく生き、自分らしく最後を迎える一助になる、 あなたらしいエンディングノートにしてみましょう。
エンディングノートの内容
エンディングノートには書いておくべき主な項目があります。 「自分のこと、財産・資産のこと、介護・医療のこと、遺言書・葬儀・お墓のこと」などです。以下のような分類で書き込んでいくタイプが一般的です。
以下の項目は、当社が提供するエンディングノートの例です。
- 自分の基本情報(氏名、生年月日、住所、電話番号など)
- 年金や保険
- 預貯金と口座引き落としについて
- 不動産やローンについて
- 家族・親戚・その他連絡先について
- 医療や介護の希望
- お葬式やお墓について
- 遺言書の有無
- 大切な人へのメッセージ
エンディングノートの準備をする前に
目的は、家族へのメッセージ、自身の気持ちの整理からでもかまいません。はじめてエンディングノートを準備する方は、書店や通販サイトで内容を確認してみましょう。
選ぶときのポイント
エンディングノートは、さまざまな種類があり、どれを選ぶべきか分からない事もあるでしょう。そこで、エンディングノートの選び方についていくつかポイントをお伝えします。ご自身に合ったノートを探すときの参考にしてみてください。
- 利便性
- 開いたときに書きやすい薄型のノート。
- 可読性・
視認性 - 文字が読みやすく、記入欄が大きい。
- 目的
- 自分が書き残したいテーマにページが割かれている。伝えるべき事項が網羅されている。
- 両義性
- 解説があり、書くこと学ぶことが同時にできる。
- デザイン
- デザインや装丁が自分の好みに合っている。
- 耐久性
- 長期保存に耐える質の高い素材。
- 携帯性
- 手軽に持ち運びできるサイズ。
- プライバシー
- カバーや鍵がある。
- カスタマイズ
- 写真やデータの入ったCD等が収納できる。
エンディングノートの書き始め方
自身に関する様々な情報をわかりすく整理するためのノートです。 例えば、あなただけしか知らないけれど、家族にも関係する情報や自分の事なのに自分でもよく覚えていない事などありませんか? 書きながら気づき、情報や考えを整理し書き記すことが出来ます。まず内容を一通り見て、気持ちを楽にして書きやすいところから書き始めてみてください。
使い方のヒント
- 見られたら困る内容は手紙などに書いて封筒に入れて保管しておくと良いでしょう。いつ記入したのか分かるように記入日を忘れずに。
- 一度にすべて書く必要はありません。思い出したらその度に追記していきましょう。
- いつでも書き直しができるように鉛筆やシャープペンシルで書くことをおすすめします。
- エンディングノートと一緒に伝えたい記録(SDカード、USBメモリ、DVD、その他のノート)があるときは、プライベートボックスや多機能バインダーなどを利用してみましょう。
- 保管場所は、紛失しないように信頼できる人に伝えておきましょう。
- エンディングノートそのものに法的効力はありません。相続・遺言について法的な書類として残したい場合は、必ず専門家(弁護士や司法書士・行政書士など)のアドバイスを受けることを検討してください。
- 将来の不安に備え、家族や自分自身の安心感を高める重要なステップです。必要な情報を整理し、愛する大切な人たちに伝えるつもりで綴り、終活に対する不安を軽減します。
エンディングノートの共有方法
- 紙のエンディングノートに記録し、家族や信頼できる友人と共有する方法です。この場合、安全な場所に保管し、家族がアクセスできるようにしておきましょう。
- クラウドストレージや安全なオンラインプラットフォームに保存し、家族や信頼できる友人にアクセス許可を与えて共有できます。
- エンディングノートのアプリで作成し、デジタル形式で保存することができます。一部のアプリでは、遺族にアクセス権を与える機能も提供されています。
- 保険会社の中には、エンディングノートの保存と遺族への提供サービスを行っている会社もあります。
さまざまなエンディングノートの伝え方
- 市販のエンディングノート
- 事前に設計された記述式の内容を使用することで、情報の整理が容易になります。さまざまな種類のエンディングノートが書店や終活事業者より販売・提供されています。
- 手書き
- ペーパーやノートブックに手書きで書く方法です。アナログなアプローチでより自由な形式で自己表現できます。
- PC・スマホ
- ワードやテキストファイルに記述する方法です。端末のパスワードを誰も知らなかった場合、伝えることができないので、情報を自分で整理し印刷して書類として保管しましょう。
- オンラインエンディングノート
- オンラインプラットフォームやアプリを使用して、デジタル形式で情報を入力し共有できます。データは安全に保管され、必要なときにアクセスできます。
- ビデオまたはオーディオメッセージ
- カメラや録音デバイスを使用して、ビデオまたは音声メッセージとして情報を残すこともできます。映像や声で感情をのせてメッセージを伝えることができます。
- 対話で伝え残す
- エンディングノートを家族や友人との対話の一環として作成することもできます。口頭で直接意思を伝えることが大切な場合もあります。
エンディングノートのデジタル化とオンラインツール
オンラインツールを利用することは、情報をより効率的に管理し、スマートフォン、タブレット、コンピューターを介して、必要な情報に瞬時にアクセスできます。また、簡単に情報を共有でき、家族や信頼できる相手にアクセス権を与えることができます。緊急の場合、重要な情報を迅速に共有できます。便利ですが、プライバシーやセキュリティに関する規約・仕様、開発元情報をよく確認しましょう。
- エンディングノートアプリで作成および管理します。信託銀行や銀行が提供するアプリなどがあります。
- クラウドストレージサービス(Google ドライブ、Dropbox、OneDriveなど)を使用します。作成、情報の保管、家族と共有ができます。
- オンラインプラットフォームサービスで、エンディングノートの作成、情報の保管、共有などができます。
- デジタル遺産プログラムは、自らの死に備えるためのApple iCloud、Google、Facebookなどが提供する生前整理ツールです。 デジタル遺産の情報(アカウント、スマホの写真、メッセージ、バックアップデータなど)を遺す相手ごとに決めたりアカウントを抹消するができます。
書いておくべき主な項目
自分の基本情報と緊急連絡先
個人情報と緊急連絡先を最初のページに書いておきましょう。もしもの時に緊急連絡先がまとめて書かれていることで、家族が落ち着いて対応できます。
基本情報
- 氏名
- 生年月日
- 生まれた場所
住所情報
- 現住所
- 連絡先の住所(別居の場合)
- 電話番号
- 自宅電話番号
- 携帯電話番号
- 仕事先の電話番号(必要な場合)
緊急連絡先
- 緊急の場合に連絡すべき人の情報
- 緊急連絡先の氏名、関係、電話番号
- 主治医の連絡先
遺言や遺産分配に関する情報
エンディングノートに遺言書を依頼している専門家(公証人)の情報を含め、遺族が連絡できるようにしておくことが重要です。
遺品の情報(内容、連絡先など)を記録することで、家族や相続人がスムーズに手続きを行うことができます。資産、債務(未返済の借金、クレジットカード残高、ローン、貸付けなど)、保険(生命保険、医療保険、自動車保険、不動産保険など)、物品、デジタル資産(オンラインアカウント、ウェブサイト、ソーシャルメディアアカウント、電子メールアカウントなど)
葬儀・埋葬の希望を伝える
連絡が必要な人や連絡先、葬儀やお墓に関する希望、そして準備状況などが記載されていれば、家族の負担が減り、安心感が増すでしょう。
葬儀
- 葬儀の形式(例:家族葬、友人・親しい人々との式典、一日葬、火葬式など)
- 葬儀の場所(公営斎場、民営斎場、教会、寺院など)
- 宗旨宗派と菩提寺の情報
- 喪主・弔辞を述べる人の指名
- 遺影写真にどの写真を使うか
- 葬儀に使用したい音楽、スピーチの希望
- 葬儀の参加者へのメッセージ
埋葬
- 墓地の希望(先祖代々の墓地、永代供養墓、納骨堂など)
- 埋葬方法(樹木葬、海洋散骨など)
- 墓地の所有権情報
- お墓のデザインや文字情報
医療の選択と希望
医療の判断決定を明確にすることで、家族や医療関係者にとって意思を尊重しやすくします。医療の選択と希望を書き残すことで、終末期における医療ケアがより適切かつ個人の意思を尊重したものとなります。
かかりつけ病院の連絡情報
- 主治医やかかりつけ医の名前と連絡先
- 代理人や医療の決定補佐者の情報
治療の希望
- 持病、病歴、常用している処方箋などの情報
- 終末期における希望(例:延命治療、緩和ケア、痛みの管理など)
- 人工呼吸器、人工栄養、輸血、手術などの具体的な治療に対する意思
不治の病気または末期疾患に対する選択
- 不治の病気や末期疾患に対する治療の継続または中止についての意向
- 緩和ケアの希望
臓器提供に関する希望
- 臓器提供(例:臓器移植、研究のための提供)についての意思
- 臓器提供に関するドナーカードの有無
蘇生(リサスシテーション)の希望
- 心肺蘇生や自動体外式除細動器(AED)の使用に関する意向、代理人の選定
- 蘇生の試みの可否
介護について
判断能力や意思決定能力の喪失を伴う病気等にかかった場合の治療や介護、財産等に関する思いや希望を伝える重要な役割があります。
介護担当者と連絡情報
- 介護に関する主要な担当者(介護施設、介護士、家族など)の名前と連絡先
- 代理人や介護の決定補佐者の情報
介護の場所
- 介護を受ける場所に関する希望(自宅、介護施設、病院など)
介護の種類
- 介護サービスの種類に関する希望(身体介護、日常生活支援、看護など)
- 介護の頻度や期間に関する希望
介護予算
- 介護にかける予算や資金に関する希望
健康管理について
- 特別な医療ニーズ(アレルギー、アクセシビリティの要件など)
介護の担当者指名
- 介護の主要な担当者(家族や友人など)の指名
- 将来的に親族の誰に介護を依頼するのか
財産等の管理
- 自身で財産を管理できなくなった場合
- 財産を管理してもらう家族などの指名
個人的な思い出やメッセージ
大切な人へ想いを伝えましょう。歩んできた半生を振り返り、これからも自分らしく生き、自分の望む最後を迎える手助けになるでしょう。あなたのエンディングノートを手に取ったご家族や親しい友人が懐かしく穏やかな気持ちであなたへ想いを馳せるでしょう。
- 思い出やエピソード
- 人生で特別な瞬間や思い出に関するエピソードや物語。家族や友人との思い出、旅行、成功体験、困難を克服した経験など。
- 感謝のメッセージ
- 遺族や大切な人々への感謝のメッセージ。感謝の気持ち、愛情、助けに対する感謝の意を伝えるメッセージ。
- 遺言と助言
- 遺族や未来の世代への遺言や助言。人生で得た知恵や教訓、家族や友人に対するアドバイス。
- おわびの言葉
- 過去の行動や言動に対する謝罪やおわびの言葉。遺族への和解と癒しのメッセージ。
大切な家族のために、自分のためにエンディングノートで残せる想い
人は時間の経過とともに、肉体が衰え、最終的には死に至ります。この過程を後悔のないように過ごすためには、衰えていくことから目をそらすことなく、同時に自身の半生を振り返りながらエンディングノートに記録し、これからの人生を楽しむ姿勢が大切です。
しかしこうした段階に達した際、本人は決定力を持つことが難しくなるケースもでてきます。その一方で家族は決断を迫られ、プレッシャーを感じ、判断に迷うことになります。
こうした場面で、自身の希望が明確であれば、家族は適切な決定をするができます。同様に、本人も自身の希望を事前に伝えれば、介護や葬儀において予期せぬ事態を回避できます。そのため、健康で元気なうちに、さまざまな状況について考慮し、家族との対話を通じて、エンディングノートに書き記してみましょう。この機会にあなたの終活について考えるきっかけになれば幸いです。