エンゼルケア
エンゼルケアとはご逝去された後の様々なケアを指し、以下のことを目的として行われます。
病原性微生物の消毒が重要であり、医学的知識のないご家族等の方への感染症のリスク低減することができます。
エンゼルケアの目的
- お身体を綺麗にして汚れを落とす
- 遺体表面に付着した病原性微生物の消毒効果
- お身体の状態の確認
- お身体のコア温度を下げる
- ご家族にも参加してもらい、「死」を受け入れやすくするため
- グリーフケアの開始点
- 施設スタッフの心理的効果
- 清潔な衣類に着替えることによる心理的作用
看護師と葬儀社のエンゼルケアの違い
看護師の役目
- 医療器具を外す
- 体液・血液等の流出を抑える
- 死後の変化の抑制
- 亡き人への尊厳を守る
お元気な時の姿、本人らしい姿にする
葬儀業者の役目
- お身体の冷却
- 環境の修正
- 死後の変化への対応
- 葬送の儀式のためのメイクなどの準備
旅立ち、儀式の衣装にお着替えする
お身体の状態の変化
亡くなられてからお身体の状態は刻一刻と変化していきます。安置するお部屋の気温や湿度等によりますが、何もケアが行われなかったときお身体は次のように変化していきます。
一都三県では亡くなられてから葬儀・ご火葬まで3~4日間のお待ちになることが多いです。なのでエンゼルケアはとても大切なケアの一つといえるでしょう。
0時間後
ご逝去
2時間後
死後硬直が始まる。血色が引く
12時間後
皮膚の乾燥が始まる
30時間後
腐敗臭を感じ始める
40時間後
死後硬直が弛緩し始める
48時間後
顔色が黒くなり、腐敗臭が強くなる
72時間後
腐敗ガスにより体が膨張し、皮膚の剥離、体液の浸出が始まる
皮膚・眼球などから血液等が流れ始める
死後状態変化を抑えるポイント
- 背中の熱を逃がす
- 肺がん・胃がんの場合は急速冷却
- 西日などに注意し、窓辺での安置は避ける
- エアコンの温度と湿度の関係に注意
- 扇風機の風向きを工夫する
- 正しい口腔ケアを行う
- 手などの拘束は注意。跡が残るときがあります。
心のケア(グリーフケア)
自分にとってかけがえのない人を失うことはとても深い悲しみを伴うものです。その心のケアをグリーフケアといいます。重度の悲嘆者は全体の10%~20%といわれていますが、そのうちの半分はケアを受けていないといわれています。
実際の対応はお悔やみの言葉をご遺族におかけになると思います。その時重要なのは「何が必要か」、「私がいます」ということを伝えて安心していただくことが重要です。そしてご家族の声を傾聴する時間をエンゼルケアの中で作り、状況や感情に共感することが大切です。